50の手習い。「オッサンの管釣りブログ」

50を過ぎてから管マス釣りを始めた素人オッサンの記録と、何故かフェラーリのメカニズム解説、自作ギターアンプやオーディオアンプの紹介、副業である執筆業のことも時々解説しちゃう。

フェラーリのメカニズム解説その4:カーボンディスクブレーキ

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これまで旧車の解説ばかり続いたが、今回は最近のフェラーリに純正装着されているカーボンディスクブレーキについて解説してみたい。

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FERRARI 458 SPECIALE carbon disk brake

写真はフェラーリ458スペチアーレに装着されるカーボンディスクブレーキ(フロント側)である。

フェラーリでは2000年代の前半に306チャレンジストラダーレやENZOで初採用し、その後F430や599GTB、カリフォルニアではオプション設定され、その後のモデルでは標準装着となる。

最近は採用するメーカーが増えてきたものの、いわゆるスーパーカーばかりなので一般的にはまだまだ馴染みが薄い品である。従来とは全く違う素材のため、良くも悪くも今までのブレーキとは相違点が多い独特のものであり、以下それらについて解説してみたい。

まず、このディスクを装着する最大のメリットは、従来の鉄より圧倒的に比重が軽いため、バネ下重量が劇的に軽減されることである。例えば直径が400mmでも重量は6kg程で、同径の鉄製ローターのデータは持っていないのだが、恐らく倍以上の重量になるだろう。

その効果は絶大で、旋回性能だけでなく加速性能も向上させている。また、ローター自体の慣性も少ないので、制動時に自身の回転を止める力が少なくて済み、制動レスポンスも早い。

直径あたりの制動力を鉄製ローターと比較すると、同径で重量差による慣性の違いを考慮しなければという前提だが、鉄製の方が制動力は高く、同重量という条件ならばカーボン製に軍配が上がる。これは意外に思われるかもしれない点だ。

それはカーボンという材質の特性上、鉄製よりもブレーキパットの摩擦力を落とし、ブレーキローター、パット共に面積を極力大きくすることで、制動力を確保しているためと思われる。その理由でローター直径は大きくなるため、19インチ以上のホイールと高偏平のタイヤを組み合わせることも必須となる。

制動の特性は独特で、まず、ある程度の温度に達していないと制動力が立ち上がらない。特に冬場は顕著なので、走り出す際には私は何回かストップ&ゴーをして、感触を確かめてから走り出すようにしている。他には、ブレーキロックする寸前辺りのコントロール性が、鉄ローターのように踏めば踏むほど食いついていく感触ではないので、その領域でペダルの踏力を増やしても制動力が一定のままのように感じられ、これらが違和感を感じる部分だ。

これらの特性は、360チャレンジストラダーレなど初期の頃で顕著であったが、年々改良され「普通の」ブレーキタッチにだんだん近づいている。

また、磨耗の特性も独特である。鉄ローターのように均等に薄くならず、ローター表面のカーボン繊維が剥離していく減り方をするので、表面に虫食いのような窪みが少しずつ増えていき、その窪みの割合や減った重量などが消耗度合いの判定基準となる。

そして最大の特徴とも言えるのが価格の高さだ。フェラーリの場合、1台分4枚で300万円位になる。だがフェラーリを始め純正装着されているスーパーカーたちは、価格に関係なく夢を叶えるための車である。これからもスーパーカーである象徴として、カーボンローターは使われ続けていくことだろう。