50の手習い。「オッサンの管釣りブログ」

50を過ぎてから管マス釣りを始めた素人オッサンの記録と、何故かフェラーリのメカニズム解説、自作ギターアンプやオーディオアンプの紹介、副業である執筆業のことも時々解説しちゃう。

フェラーリのメカニズム解説その5:512BBiのエンジン

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FERRARI 512BBi engine

写真はメンテナンスを終えてボディーに搭載する直前の、フェラーリ512BBiのエンジンだ。

ミッドシップ12気筒の512BB以降512Mまでは、定期交換が必要であるタイミングベルトを交換するためにはエンジンを脱着しなければならないため、維持するためには相当な手間と、現在の車では考えられないほどの費用を要する。

365BBで登場した水平対向12気筒は、512BBで排気量アップされた後、512BBiでインジェクション化された。それに伴いカムシャフトの作動角は少なくなり、それはパワーの公称値が512BBより20PS低下したことに現れている。

また、インジェクションシステムを構成する部品は、アルミ鋳造の大きなインテークマニホールドや、機械式インジェクション特有の、吸入空気を計量し各気筒に燃料を圧送するためのフュエルデスビなど、大きさや重量が嵩む部品が多く、それらはスペースを見つけては押し込むように取り付けられているため、BBシリーズでは整備性が一番悪い。

点火系は従来と同様でマレリー製のCDIシステムを使用するが、リミッターの回転は365BBより1,000RPM下げられた6,800RPMである。

同じBB同士で比較してしまうと、特に365BBのエンジンが尖った特性であったため、その影に隠れたイメージになってしまうのだが、512BBiのエンジンも特有の持ち味や良い面も存在し、それは扱いやすくトルクフルなことだ。

ピークパワーを求めたキャブレターのエンジンは、エンジン始動時にアクセルペダルを数回踏み、ガソリンを燃焼室に送り込んでから始動させることや、暖気しないと回転が安定しない、定期的なキャブレター調整は必須だが調整後のピーク期間が短いなど、それらの事柄に慣れていないと気難しく感じてしまう部分が多々あり、オーナー自らプラグを外せる位でないと付き合うのは難しい。

それに対してインジェクション化された512BBiのエンジンは、現代のようなメンテナンスフリーとまではいかないものの、良く調整されている状態ならば、冷間時のエンジン始動はキーを捻るだけで良く、冷えていてもアイドリングは安定し、スロットルの操作も無造作で良い。

また、トルクの値は先代と同等で発生回転が下がっているため、レッドゾーンまで回さない普通の走行では、トルクの谷もなく却ってBBiの方が楽に加速できてしまう位だ。

流石はフェラーリエンジン。それぞれに特有の味付けがある。

BBを購入検討される方は、その無二なボディーデザインが理由であろうから、8,000RPM手前まで一気に吹け上がり、その悲鳴のようなエンジン音を聞きたいのであれば365を、それよりも普段の使い勝手を重視するならば512BBiを。

そのような選択肢も有りではないかと思う。