50の手習い。「オッサンの管釣りブログ」

50を過ぎてから管マス釣りを始めた素人オッサンの記録と、何故かフェラーリのメカニズム解説、自作ギターアンプやオーディオアンプの紹介、副業である執筆業のことも時々解説しちゃう。

フェラーリのメカニズム解説その12:360Modenaのエンジン

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FERRARI 360 Modena engine

 写真は360Modena(以下モデナと表記)のエンジン整備が終わり、ボディーに搭載する直前の様子だ。

今回は、このエンジンを解説してみたい。

308系統のエンジンは、このモデナが最後のモデルとなり、当初3Lであった排気量は徐々に拡大され最終的には3.6Lとなった。348の時点でボアの拡大は限界に達したため、以降355、モデナではストロークアップのみで排気量を増やしている。

前のモデルである355の時点で、5バルブやチタンコンロッドを採用し、なおかつ超高回転型にすることで、更に前のモデルである348から、わずか100ccの排気量アップでありながら80PSパワーアップしている。

そんな限界までチューニングされた355のエンジンをベースに、これまでフェラーリは使わなかった可変バルブタイミング(エキゾーストのみ)や、可変ファンネルをモデナで初採用している。

これは、まずピーキーでもピークパワーを追求したエンジンを造り、それでは市販車のエンジンとしては無理があるので、実用に耐えうるようバルブタイミングやファンネルの長さを可変できる構造にして、中低速のトルクを確保するという流れで開発されたのだろうと想像できる。

バルブタイミングの可変は、カムとカムスプロケットの間に挟まれたバリエーターという部品に油圧を掛けることで内部のギアをスライドさせて行い、ファンネルの可変は、1気筒に2つずつ異なる長さのファンネルが用意され、それを内部に設けられたバルブを開閉することで切り替えを行う。モデナのエンジン上部に乗る特徴的なエアインテークチャンバーを分解すると、合計16個のファンネルが並ぶ姿を見ることができる。

ここまでの手間を掛けて得られたパワーは、355と比較するとプラス20PSであり、かなりの苦労が偲ばれるが、実際に運転してみるとカタログスペック以上に355とは違うことに気付かされる。高回転時の魅力はそのままに、どの回転でもモデナの方がトルクは太く、アクセルを踏んだ瞬間にドンと押し出されるようにトルクが立ち上がる。

30年磨き続けられたエンジンは、最終的に排気量は1.2倍、パワーは1.5倍となり、その最後に相応しいと思わせるのがモデナのエンジンだ。

 

 

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