50の手習い。「オッサンの管釣りブログ」

50を過ぎてから管マス釣りを始めた素人オッサンの記録と、何故かフェラーリのメカニズム解説、自作ギターアンプやオーディオアンプの紹介、副業である執筆業のことも時々解説しちゃう。

フェラーリのメカニズム解説その21:F1システムの故障診断 機械的な原因編②

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さて今回も、F1システムの故障診断の機械編を紹介していきます。

今回は、レリーズベアリングが原因となりギアが入らない場合の症状と診断方法です。

油圧系のところでも、レリーズベアリングは作動油の漏れを起こしやすいと解説しましたが、その他にも、さわりで簡単に解説した通り、マニュアル車より遥かに多いクラッチからの発熱をモロに受けながら作動している部品なので、クラッチカバーと接触する部分の変形が早く進んでしまう傾向です。

レリーズベアリングにはストロークセンサーが取り付けられており、そのセンサーでクラッチとベアリングが新品の状態で、お互いの部品が接触する位置を記憶しています。

そのデータを基に、クラッチが減ってくるとカバーがベアリング側に飛び出してくるので、その値からクラッチが減った分量を計算したり、補正をかけたりする訳ですが、ベアリングが変形してカバーに接触する部分が凹んでくると、クラッチの残りが多い方に信号の誤差が拡大してしまい、その間違ったデータを基に制御してしまうので、クラッチが押し切れず完全には切れなくなり、ギアが入らないという症状になります。

この章の最初の最初に解説した通り、膨大な部品の何が壊れてもギアが入らなくなる、若しくはギア抜けするという症状にしかならないF1システムでありますが、敢えてレリーズベアリングが原因だろうという特有の症状を挙げるとすれば、エンジンが冷えている時は正常に作動して、温まると停止状態で1速やバックに入らないことが多かったです。

といっても、355はバンパーとマフラーを外せばクラッチ分解できるのですが、他のモデルでは交換するのにミッションの脱着を伴うレリーズベアリングを、まず最初に交換してみようという話には、なかなかなりませんので、まずはテスターを繋いでクラッチの寸法データを書き替えてテストした後、ミッションを降ろさなくても交換できるストロークセンサーを付け替えてみて、それでも症状が改善されない場合はミッションを降ろして、レリーズやクラッチなど機械的な部分を点検していくという流れになります。

ちなみにデータ書き替えで症状が改善されたとしても、それはコントロールユニットの自己学習機能により後に書き替えられてしまうので、元のデータに戻り元の症状に戻ってしまうという一時的なものです。ですからそれで直ったとは判断せず、不具合がある部品を特定するためにデータを書き替えてみるという意味です。

レリーズベアリングが見れるまで分解して、クラッチカバーと当たる部分が本来山型なところ、数ミリ以上の幅で平らになっていたら、ああこれが原因かも。と判断できるのですが、そこからクラッチも同時に交換が必要か慎重に見極めていく作業も必要になります。

あと、最近多く出回っている社外品についてですが、油圧が掛かるシール取り付け部の寸法が若干小さいようで、摺動部分の抵抗が大きくなり作動不良を起こす例が多いです。

ですから、純正品の使用を極力お勧めしたいと思います。

 

 これが私手習いオヤジの著書であります。
もし解説記事が良かったと思われましたら、是非ともご購入のご検討を宜しくお願いいたします。