50の手習い。「オッサンの管釣りブログ」

50を過ぎてから管マス釣りを始めた素人オッサンの記録と、何故かフェラーリのメカニズム解説、自作ギターアンプやオーディオアンプの紹介、副業である執筆業のことも時々解説しちゃう。

底辺物書きの、あれこれ話その③ 印税の話

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さて今回は、良く質問され、なおかつ私のような底辺物書きとの実態とは、大きくかけ離れて誤解されることが多い、印税について解説してみたいと思います。

出版する際、内容を書く著作権者は出版の費用を負担せず、著作権料という報酬を予め決められた方法により計算し、それを受け取る仕組みのことを印税と称するようで、独特な方式故に、この用語が使われているのは出版や音楽業界くらいですかね。

報酬を受け取るに際し、その計算方法は、原稿の買い取り、売れた数に比例した出来高制などあるそうで、私の場合は本が出来高制、WEBの記事などスポットの原稿が買い取りとなっています。これらの方法と受け取る料率について、出版前に予め出版社と契約書を交わします。

出来高制といっても、本の独特な流通形態である、売れなかった本は本屋さんの店頭から出版社へ返品可能という、売り上げが立たない状態で出版社と本屋さんを行ったり来たりするシステムのため、印税が発生するのは売れた時でなく、初版なり増版なり本が刷り上がった、出荷してるかどうか関係ない時点となるのが面白いところです。仮に、目論見が外れて出版社に大量在庫となったとしても、書く側には何もペナルティーはありません。

私の場合、初版で3,500部、増版は300〜500部位の規模で6版までいきました。その都度刷り上がった時点で案内と計算書が届き、登録している口座に振り込まれます。

ぶっちゃけた話、振り込まれる金額は私の場合料率が5%なので、1冊当たり100円位です。そこから源泉徴収10%引かれるのですが、個人なんですけど何故か消費税10%貰えるので、引かれた後に足されて結局とんとんの額になってます。

料率については、契約書を交わす段階で、

「今回は初めての出版なので、5%でお願いします。」

みたいなことを言われたので、売れっ子の作家さんだったら、もう少し率は高いんだろうな。と思いました。

拙著は電子版も購入でき、電子版の場合は材料費や製本の費用が掛からないとのことで、料率は高く設定されています。確か15%だったかな。ただ、電子版は紙版の100分の1くらいしか売れませんでした。

さてこれで暮らしていくにはと考えてみると、私の歳での平均年収をベースとした場合、毎年コンスタントに5〜6万部とか売り上げなければならない訳です。

いやこれ私のような、4年かけても1万部いかなくて、スポットの原稿も1文字当たり10円前後で2,000文字が年に数件といった現状では到底無理な話で、専業で生計を立てている作家さんは、前にも書きましたがキャッチーなネタを量産できる能力が飛び抜けているんだなと思います。

あと、これも良く聞かれる印税収入の取り扱いなんですが、本業があっての副収入といっても、全てが私のポッケに入る訳でないんです。出版社と作家契約した時点でマイナンバーを提出しているので、印税収入を知らん顔できることもなく、確定申告して税金の過不足を調整しなければなりません。

そこで思ったのが、自営業での経費に当たる金額を、サラリーマンは勝手に控除してくれているので、実際の税率は低く済んでいるんだなと。ただ、それを超えた副収入があると、源泉を引かれていたとしても、差額の所得税を納めなければなりません。

と、ここまでネガティブな話ばかり書いてしまいましたが、やはり紙媒体で出版できるというのは特別なことで。自分が書いた文章が本になり、それが買って下さった方々の本棚に並んでいることを想像してみて下さい。

これは拙著のあとがきの内容そのまんまなんですが、日々上書きされて急速に埋没していくネットの記事と、物として残る書籍とは、書く側としては重みが全く違うんですよね。大げさですけど私の生きた証が、買って下さった方の手元で生き続けるという。

底辺物書きを名乗る私ですが、その証のために書き続けている訳であります。ですから書く側にとっては、後々も物として残るであろう紙媒体は非常に魅力的でありまして、もし本文を見られた物書きを目指す方々には、是非とも努力し夢を叶えていただきたいと思う訳であります。