50の手習い。「オッサンの管釣りブログ」

50を過ぎてから管マス釣りを始めた素人オッサンの記録と、何故かフェラーリのメカニズム解説、自作ギターアンプやオーディオアンプの紹介、副業である執筆業のことも時々解説しちゃう。

フェラーリのメカニズム解説その15:F1システムの故障診断② 警告が点灯している場合

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これから何回かに分けてF1システムの故障診断方法を解説していくのでありますが、その順番は難易度が低いものからにしてみます。

 

「警告が点灯している場合」

F1システムにトラブルが起こった時の大半は、警告が点灯せずにギアが入らなくなる症状なので、1つ1つの部品点検を進めて原因を特定していくのに対し、警告が点灯している時は割りと早く原因特定できることが多い感じです。

その理由は、テスターでエラーを呼び出し可能というのもありますが、F1の警告だけが点灯するケースは限られていて、それはシステムの作動油圧が低いか、F1システム専用に設けられた5つのセンサーである、トランスミッションカウンターシャフトの回転センサー、クラッチストロークセンサー、マニュアミッションでいうところのシフトレバーの移動量を測る2つのセンサー(以下アクチュエーターのストロークセンサーと表記)、あとブレーキペダルに付いているスイッチに、出力側では油圧を断続させるソレノイドバルに原因が絞られるからです。

他にも多くのセンサーから信号を拾っていますが、それらはエンジンやABSと共用しているため、例えば車速センサーがダメだった場合、ABSとF1両方の警告が点灯します。

で、センサーやソレノイドバルブの場合は、基本的にショートか断線かでないと警告は点灯しないのですが、アクチュエーターのストロークセンサーだけは、ミッション内部のシフトフォーク移動量が規定値を外れているなど、出力の値がおかしくても点灯します。これに関しては難易度が高くなるため、後の回で紹介することにします。

といっても、センサー自体のショートや断線というのは割合的に少なくて、油圧が低くて警告点灯するケースが大半です。その次に多いのがブレーキスイッチの不具合かな。で、警告が点灯した時のセオリーとして、まずは作動油圧が正常に上がっているか点検する訳です。

360モデナ以降では運転席ドアを開けた時に、355F1でもイグニッションキーをONにするとポンプが回転しますので、それが正常に作動しているか、回転している場合でも回転数が低くないか、オイル量は規定値入っているかという基本的なことからで、これらは別にテスターが無くても点検できる事項です。

ちなみにオイルレベルの合わせ方は独特で、油圧ポンプが回りアキュームレーターへ蓄圧するに従い、リザーバータンクのオイルレベルは低下していきますし、温度による熱膨張でも油面が変化します。そのため、冷えている時に油圧が上がり切ってポンプが停止した直後、レベルゲージの先に少しオイルが付く程度に調整しておかないと、状況によってオイルがリザーバータンクから吹き出すことがあります。

ポンプが回っていない場合は次にポンプのヒューズを点検しますが、高確率でヒューズが切れている筈です。ヒューズだけ交換して一時的に作動が復活するかもしれませんけど、根本的な原因はポンプモーターの劣化による電流の増大なので、ヒューズとポンプをセットで、あとポンプを駆動するリレーにも大電流が流れていた筈なので、これも交換しておいた方が良いです。

ポンプは回っているけど警告が点灯する場合は、アキュームレーターやアクチュエーター内部のオイルリークも念頭に入れて故障診断を行うことになります。これらのケースは難易度が高くなるので、後に改めます。

ポンプは回っていて油圧は上がるけど警告が点灯している場合は、いよいよテスターの出番となります。昔はフェラーリ純正の専用テスターが無いと話にならなかったのですが現在はそうでもなくて、結構優秀な汎用テスターが販売されています。

ちなみにうちは以前フェラーリ純正のSD-3を使っていましたが、テスター自体のメンテナンスが相当面倒な上に維持費が高額という代物なので、現在はレオナルドとテクサを使っています。スーパーカー専門で使うならレオナルド最強ですけど、テクサでも430や599辺りまでまあまあ診れるので、コストパフォーマンスはこちらの方が高いかな。

今まで警告が点灯するケースにてテスター診断で解決した原因のなかで、油圧でなく電気的な原因の大半は、上にも書きましたがブレーキスイッチの不良でした。

引き続き次回も症例と診断方法を紹介していきます。

 

 

 これが私手習いオヤジの著書であります。
もし解説記事が良かったと思われましたら、是非ともご購入のご検討を宜しくお願いいたします。